SCR 触媒の尿素分解過程が NOx 浄化性能に及ぼす影響

 

 

著者:

いすゞ中央研究所

 

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・Fe-,Cu-および Ce-SCR の各ゼオライト系 SCR 触媒を用いて尿素水を還元剤とする NO 浄化試験を実施した結果,いずれの触媒においても NO 浄化特性はアンモニアを使用した場合とほぼ同等であったが,160 ºC より低温の温度領域においては尿素添加時の方がアンモニア使用時よりも僅かに NO 浄化率が低かった.


・各種 SCR 触媒および,アルミナ触媒を用いた尿素分解挙動の調査ならびに,Fe-ゼオライト系触媒粉末を用いた尿素添加時のNO浄化反応における触媒表面のFTIR分析の結果,160 ºC以上の温度で NO 浄化反応に対して充分なアンモニアが生成することが分かった.しかし,160 ºC より低温では尿素分解によるアンモニア生成量が不充分であり,これが上述の低温領域において尿素添加時の方が NO 浄化率が劣った原因と考えられた.


・即ち,今回の検討で実施したモデルガス試験のように温度勾配や尿素噴霧状態が均一である理想的な反応条件においては,160 ºC 以下の極低温を除いては,尿素を還元剤に用いた場合でもアンモニアを使用した場合と同等のパフォーマンスが得られることが判明し,尿素 SCR システムの NO 浄化性能を充分に引き出すための改善策として,SCR への尿素水噴霧の均一性向上やコンバータの温度勾配低減が効果的であることが支持される結果となった.

 

カテゴリー:

SCR

ミキシング

 

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